先日、日独シンポジウム(経済広報センター、ベルリン日独センター、フリードリヒ・エーベルト財団主催)に参加しました。

日本とドイツ連邦共和国の違いはどんな点にあるのか?また、どのようにしてドイツの男女共同参画は進んできたのか?
講演やパネルディスカッションを通じて、各国の現状と、国としての取り組み、個別企業の取り組み事例などが、豊富なデータとともに紹介されました。

初めての同時通訳セミナー参加。かなりの集中力が必要でしたが…。
中でも印象深かった内容をご紹介します。


 

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ドイツは12位、日本は114位(144か国中)/The Global Gender Gap Report 2017

メルケル首相の印象も強く、日本と比べてドイツでは、早くから男女共同参画も進んでいるのでは?と思っていましたが…。
意外にも、ドイツでは、他の欧米諸国に比べ、伝統的な男女の役割意識や家庭の価値を重視する考え方が根強く、女性の参画はなかなか進展しなかったそうです。
じつは、1977年までは、女性が働くにあたり、夫から書面で合意書を取らなければならなかったのだとか。

これには驚きました。

しかし、「The Global Gender Gap Report 2017」(2017年11月、世界経済フォーラム発表)において、各国における男女格差を測る数値(Gender Gap Index:GGI)では、144か国中、ドイツ12位、日本114位という結果も出ているのですから、日本との違いは歴然です。

現在、ドイツでは、連邦議会の女性の割合は30%。それでもまだまだ憲法を満たしていないそうですが、経済界に比べ、政界の方が、女性の活躍も進んでいるとのこと。
そもそも、1994年の東西ドイツ統合の際にドイツ連邦共和国基本法が改正され、男女同権の促進という国家の義務が明示され、憲法の解釈として、女性が平等に扱われるべきとされているとのことです。
その後、2015年に連邦参議院で女性クオータ法が承認され、大手企業108社は、2016年1月から監査役会の女性比率を30%以上とすることが義務付けられました。
さらに大手企業3500社には、役員や管理職の女性比率を高めるための自主目標の設定、具体的措置、達成状況に関する報告義務が課されたとのことです。
ただし、自主目標を達成できなかった企業への法的制裁は特に設けられていないため、まだまだ経済界では女性の進出が十分に進んでいないとのことでした。

 

SAP社での取り組み―エンゲージメントを高めるキーワードは、「Know yourself」

登壇者の中でも、とくに印象に残ったのは、SAP社での取り組みでした。
アキレス美知子氏(SAPジャパン(株) バイスプレジデント)により、具体的に紹介されました。

SAP社では、全社をあげて、確信を持ってさらなるグローバル化や男女共同参画を進めておられます。
社員のエンゲージメントを高める働き方を追求し、様々な施策を講じておられるとのこと。
キーワードは、「Know yourself」
自分自身のLifeやCarreerをどうするのか、GrowthやWell-beingをどうするのか?
まずは自己理解が大事。そして、セルフアサインメントすることが必要。
その点、ドイツの人はJob assignmentが明確である、と。
個人のエンゲージメントを高めるためには、コーチングして導いてくれる誰か(=リーダー)が必要なのである。
だからこそ、リーダーのトレーニングも必要だと。

そして、このようにもおっしゃっていました。

「mind change」=会社のトップが変えようと思っていなければ会社は変わらない。トップの覚悟が必要。
「シンプルに、形で示す」=会社の文化を変えるためには、女性のロールモデルを入れ、内外に対し、形で示していくことが大切。

 

女性にはpsycho-social能力がある。

エルケ・ホルスト氏(独経済研究所理事シニアエコノミスト)のお話も興味深いものでした。

じつは、EUどこの国も女性の役員比率はまだまだ低い。
子供がいると女性だけが昇進からはずれるという現実が未だにある。
ドイツでも、男性に合わせた生活を強いられ、パート的に働かざるを得ない女性は多く、男性に比べ賃金は低い。

しかし、女性にはpsycho-social能力(=共感力、傾聴力、コミュニケーション能力…)がある!
どれだけ時間をかけられるか、ではなく、やる気+柔軟性=その人が何を提供できるのか、が大事なのだ。
だから今こそ、フレキシブルな暮らし、ライフコースにあった暮らしが必要である。

 

34歳前後は人生のラッシュアワー。自己実現においてとても重要な時期でもある。

ラルフ・クラインディエク氏(前独連邦家族・高齢者・女性・青年省副大臣)のお言葉。

ある調査では… 34歳前後が、一番男女格差が大きい。
介護・育児にかける時間は、男性2時間に対し、何と女性は5時間…。
実は、その年齢は、人生のラッシュアワーである。
自己実現においてもとても重要な時期であるのだから、この差を何とかしなくてはならない。

 


男女共同参画においては、ドイツも、日本と同じような問題を抱えていることもわかりました。
時代の流れを作っていくお立場と言える、前副大臣や経済アナリストが、このような認識をお持ちであるということに感銘を受けました。
そして、政界が先を行き、経済界を牽引する流れができているということが、今の日本とドイツの差なのでは?とも感じました。

2級キャリア・コンサルティング技能士 高原 真美
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